「trick or treat!!」

恵理ちゃんはそう言って、僕に笑いかけた。僕らはハロウィンということで仮装パーティーをしているのだ。 クラスの中でそういういのが好きな子がいて、わざわざ公民館の一室を貸しきって計画してくれたものだ。 基本的には自由参加だが、入室の条件がある。
1.仮装をしていること
2.お菓子を持ってくること
この二つだ。中に入った後は各々に好きな子に声をかけて、お菓子を交換し合うのだ。
僕は飴を取り出して、恵理ちゃんに渡した。
「ありがと☆ 修也君は今日も可愛いね。 それは...」
「一応、猫のつもりなんだけど...。見えるかな?」
僕は黒猫の仮装をしていった。黒い長袖Tシャツに黒い長ズボン。ふわふわの耳はカチューシャのようなものでつけて、 尻尾はズボンにくくりつけてある。足元には黒いブーツ。 結構、行事ものの好きな僕は、ついついはりきってたくさん用意してしまった。
「みえる!みえる!ってか、めっさ可愛い〜〜♪♪」
恵理ちゃんがガバッと抱きしめてくる。
「うわっ!」
恵理ちゃんは魔女の仮装をしている。黒がかった紫のドレスだ。裾が広がっていて、そこからレースが顔を覗かせている。 三角帽子もドレスと同じ色で、やっぱり可愛らしく作られている。
「恵理ちゃんこそ可愛いよ?」
「もぉ、修也君好き好き〜〜vv」

「はい! そこまで!!」

僕の体から、恵理ちゃんが引き剥がされる。 そこにいたのは包帯ぐるぐる巻きの透君だった。
「透君!」
僕は顔を綻ばせた。
「それはマミー? かっこいいよ」
とてとてと透君の側に寄っていくと、ふいに抱きしめられた。
「今日のお前、すっげぇ可愛い...」
耳元で熱っぽく囁かれ、心臓が跳ね上がった。
「え...」
「今、ここで食っちゃいたいくらい」
抱きしめる腕に力が篭る。僕は成す術もなく、されるがままになっていた。だって、照れちゃったんだもん。
「こぉら! クラスのパーティーでんなことしない!!」
恵理ちゃんは引き剥がされたことを怒っているのか、幾分大きな声で叫んだ。
「ちっ」
「純粋にパーティー楽しみなさいよ!! 行こう、修也君」
恵理ちゃんは僕のことを引っ張っていった。
「じゃあ、また後でね」
僕はもこもこしている手を振った。

「よっす、如月」
「うん。trick or treat!」
「よしよし。クッキーをあげよう」
「えへへ、ありがとう」
「はい、大宮も」
「ありがちょめ☆」
「おぉ、如月じゃん。なに?黒猫の仮装??」
僕と大宮さんのまわりには、あっという間にクラスの子の輪ができた。
「大宮、可愛いじゃん! もち如月もな?」
「ありがとう〜」
「これ、食えよ〜。魚のビスケット。お前、猫だろ?」
「...引っかかる言い方だけど、有難く貰っておきます」
僕はともかく、もともと恵理ちゃんはクラスで男女問わず人気がある。 そんな彼女が可愛らしい仮装なんてしてきたのだから、みんながほっておくはずがない。
「えへへ〜☆ みんなが誉めてくれるなら頑張って作った甲斐があるって言うものよ!」
「それ、作ったの!?」
「あったりまえじゃん!!私を誰だと思ってるの!?」
恵理ちゃんは自慢の衣装を誉められて鼻高々だった。 僕もクラスのたくさんの人に囲まれて、お菓子をもらって悪い気はしなかった。
でも、折角透君が『すっげぇ可愛い』って言ってくれたんだから、もっと側に居たかったな...。
「なぁに? そんな寂しそうな顔しちゃってぇ〜」
恵理ちゃんが上目遣いで見上げてくる。
「い、いや...なんでも...」
「そんなに透君が恋しい? あそこで女の子に囲まれてるのにぃ〜」
恵理ちゃんは部屋の隅を指差す。そこには、透君と数人の女の子が居た。
「まぁ、サッカーも上手だし、モテて当然よね☆」
「うん、かっこいいし...」
ふと透君のあの眩しい笑顔を思い出し、胸が高鳴った。 そんな表情のまま、部屋の隅に視線を向けると、透君と目が合った。 どこか熱の篭った眼差しでこっちを見ている。 僕はそのままでいられず、視線を下へと落とした。
そんな瞳で見ないで、透君...。 僕、どうにかなっちゃいそう...。
密かに胸のうちで篭っていく熱に、僕は体を震わせた。

夕方になるにつれて、みんなの盛り上がりは最高潮になった。 この会を主催してくれた女の子が大きなケーキを用意してくれて、みんなで取り分けて食べることになった。 クラスの一人ずつがケーキに蝋燭をさして、38本の蝋燭に火が灯る。
「「「「HAPPY HALLOWEEN!!!」」」」
掛け声と共に一斉に火を吹き消す。 僕はなんだかわくわくして、その場でぴょんぴょん飛び跳ねた。
「わぁ〜〜おいしぃ☆」
シンプルなショートケーキの形をとったそのケーキは、甘くてふわふわしてて美味しかった。
「もぉ、修也君。手にクリームついてるよ?」
ふと手を見ると、大きなクリームの塊がついていた。食べるのに夢中で、知らないうちについてしまったらしい。
「えへへ、恥ずかしいな」
僕は舌を伸ばして、手のクリームを舐め取った。
「ん、やっぱり甘い」
僕は顔を綻ばして、どんどんクリームを舐めとる。
...と、
「修也、ちょぉぉぉっとこっちこないか??」
いつのまにか透君が僕の隣にきている。そして、ぐんっと半ば強引に連れ去られる。
「え?え?え?透君!? そ、外出るの??」
軽い抵抗をしながら僕はそう聞いた。 すると、

「ここで犯られたいなら、別にいいぜ?」

と熱っぽい吐息が僕の鼓膜に届いた。 それだけで僕の体はさっきの熱を取り戻して、ふるふる震えだした。
「今日の修也...まじダメだわ。誘ってるとしか思えねぇ」
「え、そんなっ!」
「カッコもそうだけど。舌使い、やらしい」
透君はセクシャルな笑みを浮かべた。
バタンッ!
豪快な音を立てて、僕らはクラスの宴会(?)から抜け出した。

「まったく;; あの万年発情男がっ!!」
「ど、どうしたの? 大宮さん」
「なんでもないわ!なんでもっ!!!!」
「ぼ、ぼくのケーキあげるよ」
「あら〜、ありがとう☆☆」

公民館のフローリングの床を僕らはかけていく。 透君は男子トイレに入ると、僕を個室に押し込め、後ろ手に鍵を閉めた。
戸惑いおろおろしている僕の顔を無理やり上へ上げると、唇を重ねた。 すぐに透君の熱い舌が押し入ってきた。チュピ、ピチュと卑猥な水音が耳に届く。 それだけでもう、顔を背けたくなるほどの羞恥があったが、透君がそれを許すはずもなく、 僕の後頭部を支え、更に深く舌をねじ込んできた。 右手は後頭部を抑えたまま、左手で僕のシャツを捲り上げ、露になった乳首を嬲る。 指の腹を使い、乳首の先の敏感な部分を擦り上げる。
「んんっ...んふぅぅっ」
唇を塞がれていて、くぐもった悲鳴しか出すことができない。 快楽で乳首はぷくりと固く尖り、色づいた。
「...色っぽい。赤く熟れて、俺を誘ってる」
濡れた吐息を耳に浴びせ、透君は笑った。
「ほら、ここも修也を欲しがってる」
透君は僕の手を下腹部の熱く怒張している部分へ導いた。 薄い下着の上からでもわかるほど、熱く固いその部分は脈をうって震えていた。 僕は思わず唾を飲んだ。
「さっきからずっとこんな調子だぜ? 責任とってくれるよな?」
透君は下着を下ろし、僕の目の前にソレを出した。
こうなることを期待していたかのように、それは固くそそりたっている。
「修也のやらしい舌使いで...俺をイかせて?」
笑顔だけど余裕のない顔。僕は顔を紅潮させながら、ソレを口に含んだ。
「はふっ...あふっい(熱い)...」
僕の口は決して小さいほうではないのに、口に含むのがやっとだ。 でも、なんとか舌を動かし、幹をなぞる。 先端を回転するように舐めると、先走りの液が滲み出てきた。 その液を逃さぬよう、舌で舐め上げ、口を窄めて啜る。 ジュルとぬめった水音がした。
「くっ...ちゃんとご奉仕しろよ? 子猫ちゃん?」
荒く繰り返される吐息に混じって、透君の喘ぎが漏れる。 その声に僕も興奮し、夢中になってソレを舐めまわす。
「んっ...んちゅっ...あふっ...んん」
ピチャッ..チュッ...先走りと唾液が混ざり合い、僕の口を伝う。 半透明な液体が僕の口の周りで鈍く光を放つ。
「んっ...つっ...ヤバッ」
透君の手が僕の頭を押さえつけた。ソレが喉に刺さり、むせそうになる。
「んふ!んっ...んんぃ」
吐き気を押さえ込み、頭を上下に振って、ソレを上顎で擦る。
「もっ...出る」
口の中のものが一際大きく膨らんだかと思うと、ビュクビュクと熱い液体が口腔内に溢れた。 飲み込もうと努力はしたが、飲み切れなかった液体がさっきの唾液よろしく垂れ流れる。
「はぁ...はぁっ...」
透君は僕を抱き上げると、また口付けてくれた。
「かなりヨかったぜ。全く、困った猫ちゃんだな」
僕の口の周りを舌で舐めまわす。
「くすぐったいよぉ...」
「可愛い。本当に可愛いぜ」
透君にぎゅっと抱きしめられ、僕は天にも昇る気持ちになる。
「あ...透君、また...」
僕はお腹に当たる固いものに気づいた。
「修也が可愛いから」
そう言って透君ははにかんだ。
「今度は修也をヨくする番。後ろ向いて?」
透君は僕を軽く抱き上げると、後ろを向かせ、便器の上に座らせた。 この位置は、ちょうど僕のお尻が透君の目の前になる格好だ。 僕は恥ずかしくなって、透君の顔を伺った。
「大丈夫、大丈夫」
「...!? ひゃっ!!」
急にひんやりとした外気が敏感な部分に触れ、僕は声を上げた。透君が僕のズボンを引き摺り下ろしている。
「え?え?」
「...まったく。スるのは初めてじゃねぇだろーが。そんな可愛い顔してどうすんだよ??」
透君にそう言われ、僕は顔を赤らめながら、便器にしがみついた。透君の手が僕のお尻に触れる。肌の上を滑るような優しい触り方で撫でられる感触に僕は甘い吐息を吐いた。
「これで感じる?」
「そ、そんなことなっ..!」
「まぁ、俺の咥えてヨガってここ、こんなにしちゃったくらいだもんなぁ」
お尻に触れていた指が滑り落ちて、僕のソコへ触れた。ソコはさっきからの透君への愛撫で既に勃ちあがり、先端を湿らせていた。透君の手が僕のソコを握る。
「ひゃぁっ...やぁ」
「いや...じゃないだろ?」
下から上へ扱き上げ、先端を輪を描くように抉る。先走りの汁が透君の指の動きを滑らかにし、更に快感を煽る。指の動きに合わせて、グチュリという濡れた音がする。
「あぁん...あんっ」
「そそる声だけど...ここ、トイレだからな?」
透君の舌が僕の背中を舐める。僕は透君のその言葉に体を強張らせ、手で口を覆った。
「そろそろ俺も我慢の限界になるからな」
聞こえるか聞こえないか位の声で呟くと、背中を伝わっていた透君の舌が蕾にねじ込まれた。
「んんっ...ふっ...」
僕の手に力が篭る。そうでもしないと、絶対に声が漏れてしまう。固い僕の蕾の周りをぴちゃりと舌が這う。ひとつの生き物のように、意思をもって。
「んんぐっ...んふぅんっ」
蕾とソコへの愛撫で僕は追い詰められる。両方からの快感は、僕の脳髄を甘く痺れさせていく。
「んんんっ...んっ...あぁぁん」
視界が白くぼやけ、僕は達した。透君の指の間から、白濁した液体が零れ落ちた。
「たくさん出たじゃん。ほら?」
荒く息を吐く僕の目の前に、粘着質の液体を絡ませた透君の指が晒される。透君が指を開くと、液体はやらしく糸を引き、床に落ちた。
「ヨかった??」
いつもの人懐こそうな笑みで僕に笑いかけてくる。
「んっ...はぁ」
達したばかりのはっきりしない頭で、肯定とも否定ともとれない喘ぎを漏らす。
「これだから発情期の子猫ちゃんは。俺以外になつくんじゃねーぞ?」
透君の指が僕の蕾に埋まっていく。異物の進入する感触に背筋が粟立った。
「そ...んなっことっ...するわけなぃ...んひっ」
内壁のしこりの部分を指先で強く擦り上げられる。達したばかりの体はさっきよりも快感に従順になっていた。
「ひゃぁんっ...あぁんっ...もっ、だめぇ。また、イっちゃうぅ」
「イけよ」
三本に増やされた指は僕の内部を這いまわる。
「いやぁ...透君のでイかせてぇぇ」
僕は透君にしがみつき、懇願した。
「ったく...」
透君のため息が聞こえた...と
「あぁぁあぁんっ!」
透君のモノが僕の中に突き刺さった。
挿入する際に内部を強く擦られ、僕は背をそらせ、激しく喘いだ。
「加減してやれねぇからな? 煽ったのはそっちだ」
「やぁ..ちがぁ...あんっ!」
律動するごとに深くなるような勢いで突かれて、もう喋ることはままならなかった。液体まみれになった便座がギシギシと悲鳴をあげていた。
「はぁっ...こわれちゃ...っっ」
「トイレが? それとも...ここ?」
透君の指が僕の蕾の縁をなぞる。
「あぁっ..はぁんっ...やぁぁ」
「壊してやるよ、何度だって...」
透君が僕を背後から包み込むように抱きしめる。そして、そのまま押しつけるように抽挿を繰り返す。
「やぁぁっ...あっ、はぁぁんっ!」
「...っ」
「はっ...ひゃぁぁ...あんっ...あぁぁ」
激しい律動に目の前が霞んでいく。限界が近い。
グチュ...グチャッ...
透君の舌が僕の耳を舐めまわす。その舌の動きには余裕がなく、透君の限界の近さを感じた。
「あぁんっ..あん...いやぁ..はぁぁっ!」
亀頭が僕の中を深く抉り、あまりの快感に力を篭めた僕の指は真っ白になっていた。
「はっ...あぁぁぁあぁぅ」
ビュクッ ビュルルッ
僕が達して、荒い息をついていると
「くっふ...」
透君も後を追うように達して、僕の体内に熱い激流を放った。


「Tシャツ、汚れちゃった。僕、こんなカッコじゃ戻れないよ」
僕の黒いTシャツには情事の産物がこびりついて、白く妖しく光っていた。当然、シてきましたということを主張していて、とてもじゃないけどみんなの所には戻れない。
「つれて来た透君が悪いんだからね?」
「あれはお前が誘ったのが悪い」
透君は悪びれもなくそう言う。僕はふぅっと溜息をついた。
「まぁ、お前の荷物は俺が取ってくるから。お前は玄関で待ってろよ」
「..わかった」
僕は口を尖らせながら、Tシャツを脱いだ。荷物の中にはコートもあるから、上から羽織れば寒くない。
「修也」
外へと行きかけていた透君が僕を呼ぶ。
「ん?」
ちゅっ と、唇に柔らかいものが触れる。
「HAPPY HALLOWEEN。ケーキよりもずっと甘いプレゼントありがと」
透君はそのまま出て行った。
「あっつい...」
僕は火照った頬に手を当てた。


「修也君は...?」
「....大宮」
「まさか気絶してるとか?」
「いや...」
「..なんで、帰ってこないのかしら?」
「そ、それは...。お、俺、荷物取りにきただけだからっ」
「あら、二人分の荷物は重そうですね〜」
「..........」

「..こんのっ...エロ包帯っっっっ...!!!」

玄関で落ち合った透君の右頬にはそれはそれは大きな紅葉が咲いていました...。


【終】

(あとがき)
季節モノを書こうとして、結局季節はずれになってしまった一品。 艶があって、激しい描写を目指した第一号(笑) ま、結局ぬるい感じになってしまいましたが。 というか、目指しすぎた故にヤってるだけに...。 もっとストーリー性のあるいいものを書けるように頑張りたいですね。 猫耳・ご奉仕なんてオイシイネタを生かしきれない文才の無さに愕然です。