「あの...あのさ、今度の日曜日、僕の家に泊まりに来ない?」

朝、僕は透君に言った。
「今度の日曜日ね、お父さんが泊り込みで出かけていないんだ。だから、一人じゃ寂しくて」
そう、僕の家はお父さんしかいない。お母さんは僕が小学生の頃に他界した。だから、それからお父さんは一人だけで僕を育ててくれた。今回は会社の慰安旅行。なかなか休めないお父さんの折角のお休みだから、僕はお父さんに「行ってもいいよ」って言った。それでも、やっぱり寂しいから、透君を誘ってみる事にした。
「駄目ならいいんだ。透君の家にも都合があるだろうしさ。ただの僕のわがままだし」
何だか恥ずかしくて、僕は俯いてしまう。
「嫌じゃないぜ。むしろ嬉しい。でも、ちょっと聞いてみるな」
透君はにっこり笑ってそう答えてくれた。
「ほんと!!」
僕は思わず飛び上がってしまった。
「お前、やっぱり可愛い」
透君は道端で僕を引き寄せた。
「透君、恥ずかしいよ」
「いいだろ」

「もう!! いい加減にしてよね!!」

そのとき、恵理ちゃんが現れた。
「えっ..恵理ちゃん!!」
恵理ちゃんは僕と透君を引き剥がすと、
「この前のじゃ、あんまり効果はなかったかぁ」
がっくり肩を落とした。
「恵理ちゃん...」
「まぁいいわ。この大宮恵理子、正々堂々と勝負して、修也君を必ず彼女....もとい彼氏にしてみせます!」
「や、やっぱり僕って...」
今度は僕が肩を落とす番だった。

次の日

「やったぜ、修也。いいってよ。泊まっていいって」
透君が僕のところにやってきた。
「やった!!」
僕はすっごく嬉しくて顔を綻ばせた。
「泊まるのなんて何年ぶりかな? 小さい頃によくお泊まり会とかやったよね。今度もその時みたいに楽しかったらいいね」
僕は透君が泊まってくれることが嬉しくて、自然、頬が緩んでいく....と、突然、ぐいっと手を引っ張られた。
「うわっ!!」
叫ぶと同時に、透君の温かな唇が触れた。
「んむっ...!!」
軽く触れただけの唇はすぐに離れた。
「急に何?」
はあはあしながら僕が聞くと、
「あんまりお前が可愛いからだろうが」
と透君は満面の笑みでそう答えた。
「透君のばか」
そんなに屈託ない笑みを浮かべられると、もう何もいえなくなっちゃう。

そして当日

「いってきまーす」
「待って!」
家を出ようとした透君を沙織ちゃんが引き止める。
「なんだよ、沙織」
「これからしばらく、お兄ちゃん帰ってこないんでしょ」
「ああ」
「修也のところに行くから」
「ああ」
「あーあ。やっぱり賛成なんかするんじゃなかった。そしたらお兄ちゃん、沙織の側にいたのに。修也ったら、賛成してからすぐにお兄ちゃんのこと取るんだもん。沙織、つまんない。今度、修也と遊んでもらわなきゃ、沙織、気がすまない」
「しょうがないだろ。修也が寂しがってんだから」
「!! そうだ!! 沙織も泊まる!! そしたら、修也と遊べる!」
沙織ちゃんはぴょこんと飛び上がった。
「それはダメ」
「なんでよぉ」
「折角の二人きりを二度も沙織に邪魔されたくない」
透君ははっきりそう言う。
「.....!!」
沙織ちゃんはその一言に顔を赤らめ
「お兄ちゃん、修也に色々するつもりなんだぁ。お兄ちゃんのエッチぃ」
と呟く。
「ゴホンッ」
その言葉には答えず、透君は家を出て行った。(らしい。これは僕が沙織ちゃんから後で聞いた話だから、本当なのかどうかは定かではない。でも、この時から透君が僕に何かをするつもりだったのは間違いないらしい)

ぴんぽーん

インターホンが鳴る。ソファーで本を読んでいた僕は跳ね起き、玄関へ向かった。
「こんにちは。これからしばらくよろしく」
僕がにこりと笑って言うと
「こちらこそ、よろしくな」
透君も笑った。

僕達はソファーでテレビを見た。他に特にしたいことが無かったからだ。でも、透君と待ち合わせたのが1時30分、その時間帯に僕らが面白いと思う番組などあるはずもなく、僕らは世間でいう『お茶の間ドラマ』という奴を見ていた。そのドラマは不倫がテーマになっていて、今ちょうど、なんともいえない状況になっていた。
『美代子さん。俺、あなたの事が...』
『だめよ、英輔君。私は結婚しているの』
『美代子さん、俺、あなたが人妻でもそれでも好きなんだ』
『英輔君...』
『美代子さん』
という展開の中、ブラウン管の中では男の人が女の人を押し倒している。
『美代子さん、愛しています。今日は帰すつもりはありません!!』
『英輔君...今は何もかも忘れさせて』
『はい。俺が全て忘れさせてあげます』
テレビの中の女の人と男の人が口付けている。

プチン

「....僕、夕飯の用意するね!!」
僕は慌ててテレビの電源を切って、台所へと向かった。二人っきりにこれはきついよぉ。だって、透君の事は大好きだけど、やっぱりそういうのは早いとも思うし..。とにかく気恥ずかしくて、台所に駆け込んだ。
「修也、夕飯の用意には少し時間が早いぜ」
台所にいる僕の側に透君が来る。どうしよう。僕の胸の鼓動は明らかに早いし、顔だってきっと真っ赤だし...。お願いだから来ないでよぉ...。
「とっ...透君?」
どうしよう...声まで裏返る。
「まだ昼だろう。夕飯までにはまだまだ時間があるぜ。もう少し、話そうぜ」
「.....ん。うん」
ドキンドキン..まだ心臓が騒いでる。
「ここでいいかな?」
「ん?」
「話すのここでいいかな? 透君は、そこ座ってていいから」
「なんで?」
そこまで抵抗して初めて、透君は僕が照れていることに気がついた。
「二人きりだから? 意識してるの?」
透君はゆっくり僕に近付く。
「あ..そんなことない!!」
透君は小走りで僕の側に寄ると、急に抱きしめた。
「透くんっ!!」
「ほんと、俺の理性を狂わそうとしてんのか、お前は。やる事がいちいち可愛すぎなんだよ」
僕を抱きしめる力は次第に強くなっていく。抱きしめられることを気持ちいとも思うけど、この体勢は非常にやばくないか?
「大好き、修也」
透くんの唇が僕の唇に重なる。
「...とっ、透くん!?」
「誰もいない家に俺を誘った時から、少しは期待してたんだろ?」
透君は優しく笑う。図星だっただけに、赤面する事しか出来ない...(情けないけど)
「ん...っふ」
するりと透くんの舌が僕の口の中に入っていく。僕の舌を絡めて、ゆっくり愛撫していく。そのキスに酔って、僕の体の力が抜けてくる。 なんで、こんなに透君はキスが上手いんだろう...? 僕と同じファーストキス....のはずだよね。しばらくそうしていると、口の端から唾液がたれてくる。それはつーっとぼくの唇から喉に向けて降りていく。そんな唾液の感触にも感じ始めた頃、透君はやっと唇を離した。そのまま離れていくと思ったら、透君は僕の唇を伝う唾液をぺろりと舐め上げた。
「あ....」
それをきっかけにいよいよ僕の腰は抜けてしまい、あっという間に透君のほうへ倒れこんでしまった。透君はにっこり笑うと、僕を軽々お姫様抱っこし、寝室まで運んだ。
「とおるくん! 僕重いから!!」
自分で歩くと言おうとした唇を、透君が優しく食む。
「軽い軽い」
あっという間に寝室に着くと、透君は僕をベッドの上に優しく降ろすと、
「いいよな」
と聞いた。僕は声を出すのですら、ためらうほど照れてしまっていて、無言でこくこくと頷いた。その様子を見て透君はまた優しく笑った。
「今度は酷くしない。絶対優しくする。信じてくれるよな」
透君は照れて動けなくなっている僕をなだめる様に語りかけた。透くんの優しい声は僕の体の緊張をゆっくり溶かしていった。
やっと透くんと...



透くんが僕の服を脱がしていく。
「それくらい自分で出来るよぉ」
「やらせてくれよ。お前の服、こうやって脱がしていくの、俺の夢なんだよ。だから...」
「透君のへんたぁい」
「う! ...そういう事言うなよ」
そういうやり取りの間にも、僕の服はどんどん脱がされていった。
「透君も脱いでよ。僕ばっかりは恥ずかしいよ...」
「え? ああ」
透君が服に手をかける。
「いやっ!! やっぱりいい。僕が脱がせる!!!」
僕は起き上がって、透君の服に手を掛けた。やっぱりやられっぱなしっていうのは嫌だもんね。
「おい! 修也..」
透君が僕の事をとめようとしたけど、やめる僕じゃない。まずはボタンを一つずつ外して...僕、ボタン外すの苦手なんだよね。どうしても、手間取ってしまって...。ちょっと、上手く外せない...。
「おい...」
「ごめん。ボタン外すの苦手で....」
「そうじゃない」
「え?」
「なんで...こんな事ですらお前がやると可愛くなるんだよ...もう、俺、たまんねぇ」
透君は僕の腕を掴むと、ころんとベッドに寝転がした。
「とおるくん?」
さらけ出された首にぬめっとした感触がした。
「ひぁっ...あん」
透君の舌が僕の喉仏を嘗め回している。初めての感触に僕が震えている間に舌はどんどん下へいって、僕の胸の位置まできた。僕の胸をぐるりと回って、先端をかじられたとき体中に電撃が走った。
「あっ...あぁ」
自分でも信じられないような声が出た。僕は慌てて自分の口を押さえた。
「どうした? 修也」
そう聞きながらも、透君は僕への愛撫を止めない。
「んぁ...っく...やめて、透君。 ...恥ずかしい。僕、あんな声」
僕は必死に声を押し殺しながら、そう呟いた。生まれてこの方、自分のあんな...あんな声は聞いた事がなかった。それだけでもう僕は顔から火が出るほど恥ずかしくなってしまう。
「俺、お前のその声好きだけど...もっと聞かせて」
透君は僕の瞳を見つめて言う。僕はとてもドキドキした。いつもの透君と違う熱の篭った瞳。見れば見るほど、今日の透君は色っぽい。
「なぁっ...しゅーや」
透君は僕の耳を甘噛みした。
「んふぅ....」
さぁっと鳥肌が立つ。
「修也の耳、柔らかいな」
透君は僕の耳を何度も噛む。
「やめてってば。声がでちゃうぅ」
僕は口をぎゅっと押さえた。
「いいから、聞かせてくれって。俺はお前の事恥ずかしいなんて思わないから」
「でも、僕はすごく恥ずかしいよ」
「お前が恥ずかしいって言って、その声聞かせてくれないと俺がつまんないんだけどな」
「ん...でもぉ...」
「なっ、修也。それにその声はお前が俺を愛してくれているって印なんだぞ」
「え?」
「お前が俺の愛撫に感じてくれてる。そういう証だろ。それはつまり、俺を愛してくれてるってことだ。 ...修也は俺の事、愛してくれてないの?」
透君がそんなことを言い出した。僕が透君のこと、愛してないわけないのに...。
  でも、
「わかった。抑えるのは止める。だって、僕、透君のこと大好きだもん。でも、でも、恥ずかしいんだからね」
僕はそれだけ一気に言い切って、ぷいっとそっぽを向いた。
「わかってるって」
笑いの含んだ声で透君はそう言った。本当にわかっているのかなぁ?
僕が口を押さえていた手を取った瞬間、透君は僕の乳首に噛み付いた。
「はっ....ひっっ」
僕の口からは甲高い嬌声が出た。
「イイ声。めっちゃ感じる」
透君が僕の耳元でささやく。
「ふっ」
その吐息にも、僕の体は震えた。
「そろそろ下、触ってもいいか?」
息の荒くなった透君が僕にそう言う。僕は無言でうなずく。透君の冷えた手が僕のソコを握り締めた。
「ひっ...あぁあ」
冷たい感触と触られた快感に僕のソコはすぐにぬめりだした。
「ぐちゃぐちゃ」
透君が笑う。僕は顔を真っ赤にして、シーツをつかんだ。
「早く挿れたい」
透君はシュシュッと僕のソコを掻く。その度、僕は体を震わせながら甘い吐息を吐き出していた。
「んんっ...イっちゃ...」
ビュッと僕のソコから白濁の液が飛び出す。
「大丈夫か?」
荒い息をしている僕に透君は聞いた。
「大丈夫。だから、挿れて?」
僕は半分潤んだ目で透君を見つめる。
「お前本当に可愛すぎ。俺、加減できないぞ」
透君はそういうと、僕の蕾に僕の精液で濡れた指をねじ込んできた。
「ひぃ...あふっ」
そんなところに指を入れられるのは、もちろん初めてだった。痛みというよりも強烈な異物感。呼吸のたび、身じろぐたび、確かに透君の存在を感じた。
「あんっ...ああっ」
そのうち異物感に慣れてくると、僕の中で快感が生まれて...。さっきイったばかりなのに、またイきそうになっていた。
「すっげ、ひくついてる」
「あっ....とおるくぅん...あはぁ」
くにくにと体の中で動く指は、さながら生き物のようだった。快感に溺れきっていた僕の中から、指が抜けた。
  「あっ?」
突然途切れた快感に僕の体は激しく疼いた。
「とおるくぅん」
「わかってる。待ってろよ。」
蕾の入り口に熱いモノが当てられた。透君の気持ちを表しているようにそこは熱くて固くて。それだけで僕はなんだか涙が出そうだった。
「とおるく...っ」
「いくぞ」
透君はそういうと、僕の中に楔を押し込んできた。それは指なんかより、もっと太くて熱くて、僕に痛みを与えるには十分過ぎるほどだった。
「いっ....!!!!!」
僕の体は痛みで震える。
「悪ぃ。大丈夫か?」
裂けるような痛みがしていて、シーツを見る限り血が出ているようだった。
「はっ...はぁ」
僕は深くて荒い呼吸を繰り返す。
「抜くか?」
心配そうな面持ちで透君が覗き込んでくる。
「大丈夫... 大丈夫だから、続けて...」
やっと透君と繋がれたのにこのまま止めてしまうなんて嫌だ。僕は透君の背中に腕を回した。
「修也...。愛してる」
そっと透君の唇が僕の唇に押し当てられた。そのまま透君の手が僕の張り詰めたソコを握り、緩く掻く。腰から滲む快楽に僕の体の力が抜けると、一気に透君が押し挿ってきた。
  「あっ..!」
やっぱり痛みは消えてくれず、ソコからじんじんと体中に痺れみたいなものが広がっていった。透君が痛みを和らげようと胸へと手を回し、ゆっくりと乳首の先端をこね回す。固くとがった先端が透君の指を押し返す。
「んっ...ひぃ」
押し潰し、撫で回されるたび腹筋に力が入る。自然、体内にある透君がしっかり意識されて僕は微笑んだ。僕は今本当に透君とひとつになってるんだ。
「もう我慢できない。動くぞ」
透君が性急に動き出す。動くたびに蕾にも痛みが走る。
「ひっ...あっ...くっ」
透君が抜き差しを繰り返す。慣れてくると、僕の蕾も解れてきて痛みだけではなくなってきた。
「あん...あっ...とおる」
「しゅうや...しゅうや」
「とおる...とおる....!!」
「しゅうや!!!!!」
ドクンと僕の中で透君が脈を打ち、中にどろっとしたものが注ぎ込まれるのがわかった。
「悪い。痛かったか?」
「ううん、全然。嬉しかった」
僕はにっこり笑う。透君はそんな僕に口付けてくれる。
「でも、しばらくは動けないや」
「お父さんは帰ってこないんだろ? 家でその間、休んでればいいじゃん」
「うん。 また.....やろうね?」
「もちろん。この休みの間にもな」
「えっ! それは困るよ。立てなくなっちゃう」
「そしたら俺が支えてやるから大丈夫」
「透君....」
「よし、もう一回いくか」


「ええええええええっ!!!!」


僕はまだ眠れなさそうです....